タイトル 簿記入門
 

こすもす簿記入門

序章

簿記とはなんでしょうか。

皆さんは商工会議所の簿記検定試験や、商業学校の簿記授業、大学商学部の必須履修科目、法人会や青色申告会主催の講習会、さらに税理士試験の試験科目、公認会計士第二次試験の試験科目等の場面で「簿記」という文字を見ることがあると思います。
経営の実態を把握し、分析し、給料を出す、新規投資をする、税金を払うための基礎的な実態の取引記録はすべて簿記という技術により実行されます。
これは企業の大小や経理システムの種類を問いません。皆さんは、このような広い範囲で「簿記」に出会うことになります。
個人・法人・営利・非営利・を問わずまた国別を問わず、共通の「簿記技術」で経営活動が記述されますので、その重要さは大きいものです。
そこでまず基礎の基礎たる「簿記」をここで学んで見ましょう。ただしこの「こすもす簿記」は経営の基礎記録を自分で記帳する人を対象としています。

第1章

簿記上の取引とは何か入金取引、出金取引を中心にして

企業の財産や損益に影響する取引を特に簿記上の取引と言います。
経営努力の成果は最終的に入金として現実化します。お金の入金、出金、残高の流れ、キャッシュフローといいますが、経営の血液循環を示すものです。

入金取引は現金預金の出納帳入金の部に記入します。

出納帳帳は口座別に作成されます。

現金出納帳 小口現金出納帳 当座預金出納帳 普通預金出納帳

小口現金は、一定額を現金箱に入れ、小払資金とします。残がなくなれば補充します。営業上
の入金は記録しません。
当座預金は小切手を振り出すことができる銀行口座です。
普通預金は通帳に記録され自由に出し入れできます。
銀行・口座番号別に出納帳を作成します。

こすもす簿記では、入金出金取引に着目して、次のように分類します。

A入金取引

入金:現金、預金の増加取引です。現金出納帳入金の部に記録します。

いつ・誰から・何を・いくら・どこに入金したかを記録します。

入金記録は入金証票に証拠書類を添付います。フォーム集参照。

現金出納帳の形式はフォーム集参照。

入金取引の種類

1 売掛金回収 : 売掛金は商品・製品を後日入金の約束で出荷した場合に発生を認識する
            資産です。これが後日現金預金で回収できたときの取引です。

2 前受入金: 商品・製品引渡し前やサービス提供前に現金預金を受けとったときの取    
         引です。

3 手形取立: 売掛金回収のとき約束手形・為替手形を受け取り、手形期日に銀行に
         取立依頼して預金入金してもらったときの取引です。

4 手形割引: 売掛金回収のとき約束手形・為替手形を受け取り、手形期日前に銀行に
         持ち込み、割引料を支払って、差し引き額を預金入金してもらったときの 
         取引です。

5 資金移動: 預金を他行の口座から振り替え入金したときの取引です。同額で他行の
         出金取引になります。

6 定期定積 : 定期預金や定期積金のような固定性預金を解約して入金したときの取引
         です。

7 借入金:   銀行や経営者から資金を借り入金したときの取引です。
          短期借入金と長期借入金の2種ですが、1年以上の返済期限のものが 
         長期借入金ですが、銀行・経営者からの借入金はできるだけ長期借入金
         にします。

8 現金売上: 現金で売上金を受け取ったときの取引です。売り上げは即時銀行に入金
         します。銀行に入金したときも項目は現金売り上げです。

9 金利配当金 : 預金利息や配当金を受け取ったときの取引です。

10
雑収入: その他の雑益金を受け取ったときの取引です。

11 貸付・仮払・立替 : 貸付金や仮払金・立替金が清算入金されたときの取引です。
          貸付: (貸付期間)短期と長期(一年以上の期間)
               (対象)社員、役員、その他 簡単でもいいから、契約書を作ります。
          仮払: 金額、科目が不確定、不明のとき一時的に処理します。
          立替: 取引上、一時的に、立替支払いをしたのが、返金された場合です。

12 預り金・仮受金 : 一時的な預り金や科目金額等不明入金を仮受金として入金したときの 
              取引です。
        預り金:(対象)社員、取引先等
        仮受金:金額、科目、相手先等が不確定、不明の入金取引です。

13 敷金・保証金 : 不動産賃貸や取引保証金を受け取ったときの取引です。

14
 未収入金:   売上金以外で契約上の請求額を入金したときの取引です。

15 そのた入金 :    その他さまざまな入金をきをこの項目で一時処理します。

16
 還付税金 : 法人税・市町村民税・事業税等の還付金が入金したときの取引です。
          税金の処理は重要ですから、領収書等は別管理しておきましょう。

B出金取引

出金取引は現金預金の出納帳出金の部に記入します。

1 買掛金決済: 商品仕入れや外注加工代等 後日払いで購入したとき、取引記録を買掛金
          増減表に記録しておきますが、相手先より請求書を受領し、支払期日が到来
          したときの取引です。

 2 前渡金: 商品仕入代、外注加工代、旅費・交際費等を商品到着前等に一部支払う場合の
        取引です。
        

3 手形 決済: 振り出して、相手先に交付しておいた約束手形が手形期日に銀行口座から引
          き落とされたときの取引です。

4 人件費支払 :給料、賃金、雑給、賞与、退職金、労働保険料、社会保険料が支払われたと
          きの取引です。

5 資金移動: 預金を他行の口座へ振り替え出金したときの取引です。同額で他行の
         入金取引になります。

 6 定期定積 :定期預金や定期積金のような固定性預金を積み立てのため出金したときの取
         引です。

7 借入金 :銀行や経営者から資金を借り入金したとき返済出金の取引です。
          短期借入金と長期借入金の2種あります。

8 現金仕入:現金で商品仕入れしたときの取引です。

9 金利 :銀行や借入先に借入利息を支払ったときの取引です。

10 雑支出:その他の雑支出金を支払ったときの取引です。

11 貸付・仮払・立替: 貸付金や仮払金・立替金を出金したときの取引です。
          貸付: (貸付期間)短期と長期(一年以上の期間)
               (対象)社員、役員、その他 簡単でもいいから、契約書を作ります。
          仮払: 金額、科目が不確定、不明のとき一時的に処理します。
          立替: 取引上、一時的に、立替支払いをしたときの取引です。
13 預り金・仮受金清算:一時的な預り金や科目金額等不明入金を支払いまたは、清算出金し
               たときの取引です。
        

14 未払・未払費用:
           未払金:試算購入代等の支払取引です。
           未払費用:経費等の未払い分を支払ったときの取引です。
           ただし、通常小額の経費は支払ったときの経費として処理します。

15 投資・生保・長期前払:
          出資金、積立生命保険等の出金取引です。

16 建設仮勘定:土地、建物等の建設中の工事に関する支払取引です。

17そのた入金 :    その他さまざまな入金をきをこの項目で一時処理します。
 
18 諸税金: 所得税、法人税、事業税等の出金取引です。

19 経費: 諸経費は管理上下記のように分類します。これらを出金したときの取引です。
     1直接経費:販売手数料、委託加工費
     2人件費:(1)給料、賃金、雑給賞与、(2)退職金(3)法定福利費(4)福利厚生費
     3設備費:(1)賃借 修繕費(2)水光熱燃費(3)経費税金(4)保険料
     4政策費:(1)交際 会議費(2)広告 会費(3)図書教育費(4)研究開発費
     5流通費:(1)交通 通信費(2)荷造運賃
     6消耗品費(1)消耗品費(2)事務用品費
     7雑費:  (1)手数料報酬(2)衛生雑費
    直接経費は売り上げに比例して増加しますから、変動費として管理します。
    人件費以下の経費は、売り上げに比例して増減がゆるやかなので、おおまかに固定費  
    として管理します。この固定費が経営を圧迫しないよう注意が必要です。

    

第2章

複式簿記とは

複式簿記では取引を平面(二次元)である紙に記録することではじめります。平面は左右に分けて考えます。左右に分けます。

左側・DR(借方) 右側・CR(貸方)右側
取引はこの
二面に記録します。
雛飾りで言えば左側は左大臣、右側は右大臣です。
両者は平等の位で価値の差異はありません。同額です。
入金取引では現金入金結果と理由の関係です。

入金取引

現金が1万円入金した、理由は売り上げです。
      (結果)               (原因)
左(借方) 現金 10000    右(貸方) 売上 10000というようになります。

出金取引では左原因と右現金出金結果の関係です。

出金取引

       (原因)            (結果)
左(借方) 給料 10000 右(貸方) 現金 10000というようになります。

これが複式簿記の原理です。

現金(資産)に注目して言えば、現金の増加(プラス)はDR(借方)右側に記録されます
現金の減少はCR(貸方)左側
に記録されます。
左右に記録された金額は日次・月次に集計され、試算表として報告されます。
日次試算表・月次試算表

左側・DR(借方)右側とCR(貸方)右側に記録された金額は左右合計額は同額で記録されていますから、集計された試算表でも左右が一致するはずです。貸借均衡の原理です。
記録集計誤りが発見できますから、複式簿記が正規の簿記の原則として世界中で採用されています。会計上の共通言語です。

記録されている取引は、原始証ひょう(領収書・請求書・計算書等)により証拠付けられていなくてはなりません。

A:入金取引について

1)現金預金資産の増加諸資産減少のパターン

1 売掛金回収取引は現金預金(資産)の増加(左・DR)と売掛金(資産)の減少(右・CR

2 受取手形取立取引は現金預金(資産)の増加(左・DR)と受取手形(資産)の減少(右・C
  R

3 手形割引取引は取引現金預金(資産)の増加(左・DR)と受取手形(資産)の減少(右・C
  R

4 貸付・仮払・立替取引は現金預金(資産)の増加(左・DR)と貸付金・仮払金・立替金(資産)
  の減少(右・CR

5 敷金・保証金取引は現金預金の増加(左・DR)と敷金・保証金(資産)の減少(右・CR

6 資金移動取引は現金預金(資産)の増加(左・DR)現金預金(資産)の減少(右・CR

7 定期定積取引(取り崩し)は現金預金(資産)の増加(左・DR)と定期・定積(資産)の減少
  (右・CR

8 未収入金取引は現金預金〔資産)の増加(左・DR)と未収入金(資産)の減少(右・CR

2)現金預金資産の増加と諸負債の増加のパターン

1 前受金入金取引は現金預金(資産)の増加(左・DR)と前受金(負債)の増加(右・CR

2 借入金取引は現金預金(資産)の増加(左・DR)と借入金(負債)の増加(右・CR

3 預り金・仮受金取引は現金預金の増加(左・DR)と預り金・仮受金(負債)の増加(右・CR

(3)現金預金資産の増加と収益増加のパターン

1 現金売上は現金預金(資産)の増加(左DR)と売上(収益)の増加(右CR

2 金利・配当金取引は現金預金(資産)の増加(左・DR)と金利・配当金(収益)の増加(右・C
  R

3雑収入取引は現金預金(資産)の増加(左・DR)と雑収入(収益)の増加(右・CR

4 還付税金取引は現金預金(資産)の増加(左・DR)と還付税金(収益)の増加(右・CR

(4)その他の取引

1 現金預金(資産)の増加(左・DR)と諸費用の戻り(右・CR

B:出金取引について

(1)諸資産の増加と現金預金資産の減少のパターン

1.定期定積取引は定期預金・定期積金(資産)の増加と左側・DR)と現金預金(資産)の減少(右側。CR)

2。貸付・仮払・立替取引は貸付金・仮払金・立替金(資産)の増加(左側・DR)と現金預金(資産)の減少(右側。CR)

3・投資・生保・長期前払取引は投資・生命保険積立金・長期前払費用(資産)の増加と現金預金(資産)の減少(右側。CR)

4.建設仮勘定取引は建設仮勘定(資産)の増加と現金預金(資産)の減少(右側。CR)

(2)諸負債の減少と現金預金資産の減少のパターン

1.買掛金決済取引は買掛金(負債)の減少(左側・DR)と現金預金(資産)の減少(右側。CR

2.支払手形決済取引は支払手形(負債)の減少(左側・DR)と現金預金(資産)の減少(側。CR

3.借入金返済取引は借入金(負債)の減少(左側・DR)と現金預金(資産)の減少(右側。CR)

4.預り金・仮受金決済取引は預り金・仮受金(負債)の減少(左側・DR)と現金預金(資産)の減少(右側・CR)

5。未払・未払費用決済取引は未払金・未払費用(負債)の減少(左側・DR)と現金預金(資産)の減少(右側・CR)

(3)諸費用の発生と現金預金資産の減少のパターン

1.現金仕入取引は仕入(材料・商品等の購入)(費用)の発生と現金預金(資産)の減少(右側・CR)

2.人件費支払取引は人件費(給料・賞与・雑給等)(費用)の発生と現金預金(資産)の減少(右側・CR)

3. 経費取引は経費(交通費・通信費・交際費・消耗品費等)(費用)の発生と現金預金(資産)の減少(右側・CR)

4・諸税金取引は諸税金(固定資産税・印紙税等)(費用)の発生と現金預金(資産)の減少(右側・CR)

 金利

5.雑支出取引は雑支出(販売費・一般管理費以外の諸費用)(費用)の発生と現金預金(資産)の減少(右側・CR)

4。その他の取引

1・資金移動取引は現金預金(資産)の増加(左側・DR)と現金預金(資産)の減少(右側・CR

 第3章 

試算表とは

取引を記録すれば下記のようになります。しかし同一科目は集計して合計で表示します。

取引記録の集積 入金取引

右側・DR・借方        左側・CR・貸方

勘定科目       金額       勘定科目      金額

(1)現金預金(増加) XXXXX    売掛金(資産の減少)    XXXXX 売掛回収
(2)現金預金(増加) XXXXX    受取手形(資産の減少)   XXXXX 手形回収
(3)現金預金(増加) XXXXX    精算口(経過勘定の減少)XXXXX 経過勘定
(4)現金預金(増加) XXXXX    定期預金(資産の減少)   XXXXX 定期取崩
(5)現金預金(増加) XXXX     定期積金(資産の減少)   XXXXX 定積取崩
(6)現金預金(増加) XXXXX    貸付金(資産の減少)    XXXXX 貸付回収
(7)現金預金(増加)  XXXXX    仮払金(資産の減少)       XXXXX 仮払清算
(8)現金預金(増加)  XXXXX    立替金〔(資産の減少)      XXXXX 立替清算
(9)現金預金 (増加) XXXXX    預り敷金(負債の増加)     XXXXX 敷金預り
(10)現金預金(増加)  XXXX     保証金(負債の増加)      XXXXX 受入保証金
(11)現金預金(増加)  XXXXX    未収入金(資産の減少)   XXXXX 未収金回収
(12)現金預金(増加)  XXXXX    借入金(負債の増加)       XXXXX 借入発生
(14)現金預金(増加)  XXXXX    仮受金(負債の増加)       XXXXX 仮受発生
(15)現金預金(増加)  XXXXX    売上(収益の増加)          XXXXX 収益実現
(16)現金預金(増加)  XXXXX    受取利息(収益の増加)    XXXXX 収益実現
(17)現金預金(増加) XXXXX    受取配当金(収益の増加)XXXXX 収益実現
(19)現金預金(増加) XXXXX    還付税金(収益の増加)    XXXXX収益実現

合計           XXXXXX   合計            XXXXXX

 同一科目合計整理をして、一取引金額をすべて1000円とすれば試算表は

 (右側・DR)借方       (左側・CR)貸方  単位円

        XXX会社   試算表      XX年XX月分

勘定科目  金額      勘定科目      金額

現金預金 19000        売掛金(資産)       1000
                  受取手形(資産)      1000
                   精算口(経過勘定)   1000
                                 定期預金(資産)      1000
                                定期積金(資産)      1000
                                 貸付金(資産)      1000
                                   仮払金(資産)         1000
                                 立替金(資産)        1000
                                保証金(資産)          1000
                                  未収入金(資産)       1000
                                借入金(負債)          1000
                                預り金(負債)          1000
                                 仮受金(負債)          1000
                                売上(収益)             1000
                                受取利息(収益)      1000
                               受取配当金(収益)   1000
                                雑収入収益)       1000
                                還付税金(収益)       1000
 
 合計   19000       合計           19000

 となります。

取引記録の集積 出金取引



右側・DR)借方              (左側・CR)貸方  単位円

        XXX会社   試算表      XX年XX月分

勘定科目  金額                 勘定科目      金額

買掛金(負債)        1000          現金預金        19000
前渡金(資産)        1000
受取手形(資産)         1000
支払手形(負債)       1000                 
未払費用(負債)       1000                              
清算口(経過勘定)     1000                            
定期定積(資産)       1000                           
借入金(負債)        1000                               
現金仕入(費用)       1000
支払利息(費用)       1000                                
雑支出(費用)        1000                               
貸付金(資産)        1000                                    
預り金(負債)         1000                          
 未払金(負債)       1000
生命保険積立金(資産)  1000
法人税等(費用)      1000
販売手数料(費用)    1000
委託加工費(費用)    1000 
福利厚生費(費用)    1000                               
 合計          19000            合計           19000

 となります。

試算表はある期間の取引状況を一覧で見ることができますので、便利です。この試算表を基して、貸借対照表、損益計算書が作成されます。

 

 



 

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