| 読書余滴  「財務マネジメントの基本と原則」デビット・ド・メッキン著
 
 naked finance 訳 国貞克則 東洋経済新報社 2009/06/05 戸張道也
 著者の日本版への序文より:「自分自身がどのように財務的な業績を与えることができるか」、「財務とマネジメントを結びつけ、財務専門家以外の読者にもわかりやすく説明する」。「あなた自身が正しい財務原則に基づいた意思決定を行い、財務的な業績を向上させるためにはどうすべきか解説しょうとする」
 
 訳者のまえがき:1.財務計画の策定2.売上、費用、利益、キャッシュフローのマネジメント 3.長期事業計画の評価をわかりやすい言葉で具体的に解説。
 訳者あとがき:本書は、内容の網羅性、論理的一貫性、徹底的に初学者の視点に立つた簡潔性という点で、私が今まで執筆した本などおよびもつきません。
 なお日経産業新聞2009/06/02 ビジネス書 ベストセラーの第一位に訳者国貞克則氏の著書財務3表一体分析法、第9位に財務3表一体理解法があがっています。本書「財務マネジメント基本と原則」は後継者教育用に採用したい良書です。
 第1部財務目標の設定第2部財務情報の活用 ここでは第1部のみ要約です。
 
 第1章 本書の目的
 
 適切な経営判断を行う際の重要な要素は、その判断が財務成績にどのように影響するかを理解することである。
 ***財務マネジメントを理解するために大切なこと:
 それは「難しく考えるな!」です。
 目的地がわかっていること>どこへ行きたいのか>財務目標の設定
 まわりの情報を理解できること>どのように進んで行くか>財務情報の活用
 行き先をコントロールできること>正しい方向に進んでいるか>財務コントロール
 ***常に監視してコントロールしなければならない財務上のポイント
 利益:売上とコストの管理をふくめた利益管理
 キャッシュフロー:日常ベースの支払資金管理
 長期計画:長期プロジェクト
 
 第2章 利益がすべてか
 
 ***会社が生き残るために必要なものは何か
 適切な財務マネジメントなしに会社は生き残れない
 *ビジネス上で、財務マネジメントの目的は事業アイデアを利益に変えること
 利益:「ある期間の売上高」−「その期間の売上高を生み出すのにかかった費用」
 キャッシュフロー:「ある期間の受取キャッシュ」−「その期間の支払キャッシュ」
 *利益はキャッシュフローと異なる。利益は財産の変化を測るものである。
 財産=「個人、企業の所有物」−「特定時点の個人、企業の借入金」
 ***キャッシュフローは重要か
 *通常のビジネスが存続するために必要不可欠なこと2つ
 *1・利益を生み出すこと*2・キャッシュフローを生み出すこと
 
 第3章どうしたら利益を出せるか
 
 ***利益を生み出すプロセスはどこからはじまるのか
 *年度初めに資金を集め、年度末に利益を報告する。
 ***会社はばぜ株主が必要か。資産を調達するための資金調達。
 ***会社はなぜ借入れをするのか。借入をすることにより、株主に対するリターンを大きくできる。
 ***借入金を増やす場合の潜在的リスク
 1・借入コストが増加する
 2・売上の減少による影響を受けやすくなる。
 ***利益を生み出すプロセス
 **利益を生み出すプロセスの第1段階:資産取得のための資金を調達する。
 *会社にはなぜ資産が必要か
 **利益を生み出す第2段階:資産を売上げに変える。*なぜ会社は売上のことで頭がいっぱいになるのか。
 **利益を生み出す第3段階:*売上を利益に変える。
 
 第4章 財務的な成果はどのように評価されるか
 
 ***株主は成果をどのように評価するか
 株主は会社に投資することによって2通りの利益を得ることができる。
 *配当金を受け取れる。
 *株価が上昇する。
 ***売上高と利益ではどちらが重要か。
 Sales is Vanity 、profit is sanity
 「売上高は虚栄であり、利益は健全性である」
 ***利益の伸び率と利益の額ではどちらが重要か
 *株主は利益成果を1株当り利益(EPS)で測る。
 **1株当り利益(EPS)= 税引後利益 / 発行済株式数
 *1株当りの利益には2つの要素がある。
 配当金として流出する利益(配当性向)と再投資される利益〔内部留保)
 ***経営者は成果をどのように測るべきか
 **経営者は発行済株式数よりも株主が投資した資金との関連で利益を見る。
 株主資本利益率(ROE)= ( 税引後利益 / 株主資本 )* 100
 ROEは株主から調達された資金が効率よく利益に変わっているかを測る
 ***成果を測る方法は他にもあるのか
 * 調達資金総額 = 株主資本 + 長期借入金
 * 営業利益=売上高 - 売上原価 −営業費用
 **使用総資本利益率(ROCE)= 営業利益 / 調達資金総額
 
 第5章 大切な数字はどれか
 
 *** 会社にとって主要な4っの数字とはなにか
 **第2章で会社が存続するための必要要件2つを説明した
 1・利益を生み出すこと2・キャッシュフローを生み出すこと
 第3章でどうすれば利益を生みだせるか>**1ROE株主資本利益率で評価
 第1段階:資産を取得するための資金を調達する>キャッシュのマネジメント
 第2段顔:資産を売上に変える> キャッシュのマネジメント
 第3段階:売上を利益に変える> 利益のマネジメント
 *第1段階 資金調達の問題
 **2レバレッジ比率 =( 長期借入金 / 長期総資本)* 100
 *長期総資本= 株主資本+長期借入金
 レバレッジ比率は長期資本のうちの長期借入金の割合を測るもの。資産を取得するためのキャッシュがいかに効率よく調達されているか。
 50%以上はハイレバレッジ、50%未満はローレバレッジ
 第2段階 資産を売上に変える。資産から効率よく売上の形でキャッシュが生み出されているか。 資産回転率は会社が資産を売上に変える能力を測るもの
 **3資産回転率 =  売上高 / 長期総資本
 第3段階売上を利益に変える。売上がいかに効率よく利益に変えられているか
 **4利益率 = (利益 / 売上高)* 100
 ***4つの主要な数字はお互いにどのように関係するか
 ***レバレッジ比率と売上計画
 *増資か借入かの決定>取締役会レベル>見直しに時間がかかる>ROEを高める可能性あり>売上確保の確実性必要>売上計画の重要性増加
 ***資産回転率を向上させる方法
 *現状の資産を維持して売上を増やす
 例:店舗の営業時間の伸長
 *資産を縮小して売上を維持する
 例:売掛金早期回収
 ***利益率の向上方法
 *売上高に対する費用の割合を減らす
 費用が売上と同じ割合で増えないようにする。費用削減はさけなければならない場合がある。費用削減>売上の減少>利益率低下となるからである。
 **費用のコントロールは対売上比率でマネジメントを行うこと。
 まとめ***1ROE株主資本利益率はビジネスの目標、2レバレッジ比率、3資産回転率、4利益率はこれを達成するための手段。
 注1第2部では財務諸表、財務計画、キャッシュフロー、長期計画等を記述
 注2これらの比率は簡単ですが、pythonスクリプト言語等で問題解決を考えてプログラムコードを作成すると、本質がよく理解できます。HP tobari-kaikei コンピュータ言語pythonへの道 第18章にサンプルがあります。新人社員の必須項目は1・英語2・情報技術3・会計といわれています。
 英文のpython参考書類と本書の原書の学習で三位一体の効果が上がります。どこでも配置用無地ページ利用方法
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